瀬戸内海研究会議

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理事長あいさつ

特定非営利活動法人 瀬戸内海研究会議・理事長 松田 治(広島大学名誉教授)

特定非営利活動法人 瀬戸内海研究会議(以下、「研究会議」)の柳哲雄理事長は、2022年7月に、突然、急逝された。これにより、「研究会議」は予期せぬ試練の時を迎えることとなった。残されたものは、集中して善後策の構築に努め、特定非営利活動法人としての規定に従って手続きを進めるために、まず、日高健近畿大学教授が約1月半の暫定的な理事長を務めたのちに、私が理事長に選任されることとなった。理事長に選任された以上、現在、大きな課題を抱える瀬戸内海のために、全力を尽くしたい。

瀬戸内海は、今、大きな転換期を迎えている。瀬戸内海は、環境保全や環境管理の分野では、内外でも独特の地位を占めているが、その源泉をたどると、「公害の時代」における1970年代の瀬戸内海環境保全知事・市長会議の活動があり、1973年に制定された瀬戸内海環境保全臨時措置法に行きつく。これが、現在の「瀬戸内法」(瀬戸内海環境保全特別措置法)の原型である。

瀬戸内海の環境管理政策は、近年、大幅に変わり、「瀬戸内法」は、2015年に大改正されて、瀬戸内海は「豊かな海」を目指すことになった。瀬戸内海が目指すべき海の姿が、「きれいな海」から「豊かな海」へと大転換したのである。さらに、2021年の部分改正では栄養塩類管理が重要な課題となった。これらは、現在、進めるべき緊要の課題であるが、一方、その具体的な進め方には、定法がある訳ではなく、国から基礎自治体までの行政、水産や環境の関係者のみならず、産官学民を含む多くの人々にとっても、大きな課題や関心事となっている。

そこで、「研究会議」としては、当面、これまでに蓄積してきた研究成果を集大成し、関連分野の新たな知見も反映した形で、「豊かな瀬戸内海に向けての提言」を取りまとめることに力を注ぎたい。「研究会議」が他の学会等と大きく異なる点の一つが、政策提言を重視していることだからである。従来、続けてきた瀬戸内海の研究フォーラムやワークショップも、産官学民の連携で、さらに発展的に継続させたい。

同時に、「研究会議」としては、地球規模の環境変動にも目を配りたい。地球規模で進む温暖化、海洋酸性化、貧酸素化、生物生息環境の破壊、水産資源の減少、海洋プラスチックごみ等の問題は、瀬戸内海の問題にも直接・間接的に連動しているからである。

「研究会議」には約30年の歴史があるが、初めの約20年は、任意団体で、その後、NPO法人化して約10年となる。任意団体としての期間の後半に10年余、私は「研究会議」の代表(会長)を務めさせていただいた。しかし、NPO法人としては、新参者であるので、ご鞭撻をお願いしたい。

「研究会議」の日々の活動は、(公社)瀬戸内海環境保全協会、(公財)国際エメックスセンター、瀬戸内海環境保全知事・市長会議をはじめとする多くの団体や個人の支援と協力によって成り立っている。最後に、引き続いての温かいご支援とご協力を、心よりお願いしてあいさつに代えさせていただきたい。

2022年秋